人材開発コラム COLUMN
社内課題から導いた研修実施で大成功~弊社講師派遣サービス・事例紹介~
2024年11月08日
「人材育成のために社内研修を検討したい。でもどのようにテーマ選定すればいいか、誰に研修を受けさせればいいか…」
とお悩みの人事担当の方、管理職の方はいらっしゃいませんか?
■人材育成に研修を導入する企業数は増加傾向
企業向け研修サービス市場はコロナ禍を経て、2023年度は5,600億円(22年度比:4.3%増)、2024年度では5,800億円(23年度比:3.6%増)と予測され、研修サービス需要はここ数年拡大傾向にあります。
これは、採用難や就労人口減少を背景にした従業員のスキルアップや人材定着を目的とした研修サービスを利用する企業も増えているからと考えられます。
また、企業の人的資本経営への関心の高まっていることも、研修サービスの需要拡大の要因となっています。
■研修の必要性は感じている…でもどんな研修が必要なの?
実際弊社においても、講師派遣サービスを中心に研修実施件数は年々増えており、「こんな研修をしたい」という要望が明確にある企業様もいらっしゃいます。
しかしながら、「研修の必要性は感じているが、何から手をつければよいのか分からない」といったご相談をいただくケースも増えています。
そのようなご相談でも、詳しいヒアリングをおこなうことで、課題や進めたい方向性などを確認して、必要な研修テーマをご提案させていただいています。
そこで今回のコラムでは、研修のテーマ選定にお悩みの企業に、ご提案させていただいた事例をご紹介したいと思います。
■目の前にある課題から研修テーマを明らかにする
ある製造業の企業様から研修実施のご相談がありました。
最初の相談では、漠然と研修実施をご希望されていました。
事前相談で届いた課題
研修サービスのご提案をするにあたり、主な課題について伺ったところ、
- パワハラもしくはそれに近い事案が発生している
- 上司・部下間のコミュニケーション不全がある
- ベテラン社員と若手社員の関係悪化が発生している
などが挙げられました。
そこで、根本的な原因を特定し、どのような研修アプローチが有効となるのか判断するために、さらなるヒアリングをおこないました。
すると、以下のようなことが分かりました。
具体的なヒアリングでさらに細かい課題を抽出
管理職の役割認識が弱く、パワハラが発生
- 管理職が管理職としての役割認識ができていない。
- 部下とのコミュニケーションの取り方や部下育成の方法について学ぶ機会もないまま、我流でおこなっている。
- 自身の価値観を部下に押しつけ頭ごなしに叱ったり、部下育成に無関心、部下とのコミュニケーションが希薄になっている。
- パワハラやパワハラに近い事案が発生している。
上司・部下間のコミュニケーション頻度が少なく、関係性が希薄
- 上司・部下間で信頼関係が構築できていない
- コミュニケーション頻度も少ない
- 部下が悩んでいても相談する先がなく、退職に至るケースも発生。
従業員の年齢構成に偏りがあり、人間関係が悪化
- 社員の年齢構成が40代以上:7割、30代:1割で10代・20代:2割と、社員の年代にかなり偏りがある。
- 業務の指示・命令や指導を担う40・50代のリーダーと、若手社員の間で価値観の違いによるミスコミュニケーションが発生し、リーダーは「今どきの若者の考えが分からない」と考え、若手社員は「リーダーは自分たちのことを全然理解してくれない」と考えており、人間関係に溝ができている。
■ヨソ事ではないハラスメントの現状
この企業様に限らず、弊社に研修のご相談いただく企業の中でも、このような問題を抱えている企業は比較的多い印象があります。
厚生労働省が令和6年5月に発表した「令和5年度職場のハラスメントに関する実態調査」の中で、 勤務先でパワハラを経験した者の勤務先の特徴について、以下のような結果が出ています。
今回の相談事例の中でも「上司と部下のコミュニケーションが少ない」「従業員の年代に偏りがある」といった特徴が出ており、まさにパワハラが発生しやすい環境であったことがわかります。
「わが社は大丈夫」と思っておられる企業様もあると思いますが、上の結果からもわかるように「残業が多い/休暇を取りづらい」「失敗が許されない/失敗への許容度が低い」「人手が常に不足している」などの特徴のある職場も、パワハラが発生しやすい環境とされていいます。
上記特徴に該当する場合は、表面化していないハラスメントが発生している可能性も考えられます。
「ヨソ事」と思わず、注意する必要があります。
ちなみに、これを裏付ける調査結果もご紹介したいと思います。
■ハラスメント抑止により、職場内の人間関係改善と離職防止を図りたい
さて、話を今回の相談事例に戻します。
上記のようなヒアリング内容から導いた問題を踏まえ、全階層へのハラスメント研修ではなく、弊社からの提案としては管理職層への研修の必要性を強く感じました。
そこで、
- 管理職に対するハラスメント研修
- 管理職に対する役割理解研修
の2つの研修をご提案させていただきました。
提案1:管理職向けハラスメント防止研修
これまでお伝えしたように、今回のケースだけでなく、多くの企業においてハラスメントに関する事象が起きている現状があります。そのため、ハラスメント防止研修を実施したいとご相談いただくケースは多いです。
その中でも、役職の性質上、ハラスメントの加害者になるリスクが高い管理職向けに、まずはハラスメント防止研修を実施してほしいとの要望が増えてきています。
今回のケースでも、既にパワハラが発生していることから、このままでは「企業・個人に対する法的責任(損害賠償等)」「職場環境の悪化」「退職者の増加」「企業イメージの悪化」といった様々なリスクを抱えていることから、緊急性の高い研修テーマとしてご提案しました。
目的
- ハラスメント問題の現状や社会の動きについて、基本的な知識を身につける
- 事例を通じて、ハラスメントの発生要因と防止策を理解する
- 職場でハラスメントを起こさないためのコミュニケーション方法を学ぶ
プログラム
- ハラスメントとは
・「ハラスメント」って何?
・ハラスメントの現状
・ハラスメント予防の重要性
・ハラスメントがもたらす影響 - パワーハラスメント
・「パワーハラスメント」とは(定義)
・パワハラ危険度チェック
・パワハラ行動(6類型)の理解
・「指導」と「パワハラ」の違い
・裁判事例に学ぶパワハラ - ハラスメントのない職場作り
・事例検討
・パワーハラスメント
・ハラスメントにならない「注意・指導」を身につける
・ハラスメントを防ぐ職場のコミュニケーション - 働きやすい職場作りのために(まとめ)
・加害者にも被害者にもならないために
・ハラスメント防止のための上司(管理職)の役割
ポイント
本研修では、まずハラスメントが企業および行為者(加害者)にもたらす影響・法的責任について、正しく理解していただくことにポイントを置いています。
ハラスメント問題が顕在化している企業の従業員でさえ、こういったことを理解している方は非常に少なく、ハラスメントに無関心であったり、軽く捉えている方が多いためです。
そのため、ハラスメントが企業に甚大なダメージを与えるものであり、万が一加害者となった場合は、刑事責任・民事責任を問われ、社会的信用・社会的地位を一瞬で失う事案であることを理解していただくことで、ハラスメント抑止につなげます。
また、管理職の皆様がハラスメントのない適切なマネジメントを実行するうえで必要不可欠となる、「指導とパワハラの違い」や「ハラスメントにならない注意・指導方法」「ハラスメントを防ぐ職場コミュニケーション」についてもお伝えすることで、実務で即実践いただけるようにしました。
提案2:管理職基本研修
管理職登用時に管理職としての必要な知識を習得するための研修を実施していますか?
管理職としての「役割理解」や「組織マネジメント」「部下育成を行うために必要な知識」など、管理職層には組織の中で求められる役割が非常に多くあります。
しかしながら、多くの企業において、実施できていない現状があります。
その結果、管理職登用前と登用後で役割認識が変わらないまま業務を行うため、会社が求める役割を果たせず、自己流の指導が残念なことにパワーハラスメントになってしまうことが多くあります。
このように管理職層の役割理解の有無は非常に大きな影響があるため、講師派遣だけでなく公開セミナーでも非常に人気の研修となっています。
今回のケースでも、部下との関わり方など基本的な役割理解の必要性を感じたため、提案させていただきました。
目的
- 管理職に求められる「組織マネジメント」の基本や実務スキルを習得する
- 管理職に必要な役割の理解と自身の課題を設定する
- チーム力を高める部下育成力を醸成する
プログラム
- 管理職の基本と役割
・管理職とは - 管理職に求められる役割と要件
・管理職の資質(自己診断と振り返り) - 組織マネジメント
・目標・方針の展開と落とし込み
・業務改善と問題解決
・PDCAサイクル - 部下育成の基本
・心理的安全性とエンゲージメント
・支援型リーダーの役割
・仕事の教え方と指示の仕方 - 感情コントロールとコミュニケーションの基本
・管理職に必要な感情コントロールを身につける
・効果的なコミュニケーション方法を学ぶ
ポイント
管理職層の役割理解が進んでいないと、部下との良好なコミュニケーションが築けないだけでなく、管理職の方自身が様々な壁にぶつかり苦悩し、苦しい状況に陥ってしまいます。
本研修では、まずは管理職としての役割を再確認・理解いただくことから始まり、そのうえで、組織マネジメントの基本や部下育成、感情コントロール、コミュニケーション法といった管理職として必要不可欠となる実務スキルを習得していただきます。
■研修の導入が明るい職場づくりの実現へ
今回ご紹介した事例ではしっかりしたヒアリングをもとに、「ハラスメント」という課題に対して「ハラスメントの研修を実施する」というだけでなく、ハラスメントが起きる背景にはどのような状況があるのかということを抽出し、それに合った研修を提案させていただきました。
実際に、今回のケースでは2つの研修を実施後、以下のような変化の声をお聞きしました。
- 管理職としての役割が明確になり、自身の意識が変わった、部下指導に対する意識も高くなった
- 管理職の意識が変わったことで、部下への接し方、指示の出し方に変化が生まれメンバーの自主性が高まった
- 部下、上司のコミュニケーションが活発になり、チームとしての一体感が高まった
- 職場の雰囲気が少し明るくなった
また、その後も定期的な研修実施や、必要に応じて公開セミナーを活用いただくなどしています。
■どんな研修が必要なのか明確でなくても大丈夫です!
「研修の必要性は感じているが、何から手をつければよいのか分からない」といった漠然としたご相談であっても、問題ありません。
詳細なヒアリングをさせていただき、その内容を基にカスタマイズした最適な研修をご提案させていただきます。
また、今回ご紹介したケースとは違うますが、明確に「ハラスメント研修」「マナー研修」などの要望があり、実際にヒアリングをさせていただくと、課題解決の糸口は違うところにあったため、打ち合わせの結果、テーマを変更して研修を実施したケースもあります。
キャリアプランニングでは、以下のような流れで研修実施まで対応サポートさせていただいています。
さまざまなテーマに対応できる講師陣とともに、貴社に最適な研修をご提案させていただきます!
まずはお気軽にご相談くださいませ。