メンター制度で若手の離職防止を目指す!

2019年02月12日

■「離職防止」は経営課題


 売り手市場による採用難、労働力人口の減少など、企業を取り巻く環境は著しく変化をしています。
また、転職に対するハードルも、中堅~若年層を中心に下がっており、様々な理由で「転職」を選択することが特別なことではなくなってきています

 人事担当者にとっては、必死になって採用した社員が、なぜいとも簡単に退職を選択するのか・・・・

 転職が一般的な社会とはいえ、なかなか受け入れやすい現実ではなく、採用に欠けた労力・時間・コストなどを考えると、最も頭を悩ます事柄の1つではないでしょうか?また、経営者にとっても、経営資源としての人財が予期せぬ形で流出することは、いまや経営課題ともいっても過言ではありません。

 では、どうすれば「離職防止」が実現できるのか・・・離職防止の施策を打ちたいが、「何が効果的なのか?」「何から手を付ければよいのか分からない」などと、明確な防止策を打てないままの人事担当者の声をたくさんお聞きします。

(参考:厚生労働省「学歴別卒業後3年以内離職率の推移」)

■離職にいたるまでのプロセスとは?


 そもそも、「退職する」という判断までにどのようなプロセスがあるのでしょうか?

 退職の理由は様々あるとお伝えしましたが、最も多い理由が「職場環境」だといわれています。
これは退職理由だけでなく、新入社員が「入社後最も不安・気になる点」でも同じ項目を挙げています。つまり、「職場環境」について大小あれど不安を抱きながら入社し、実際に仕事を始めると、どうしても小さな不一致が仕事内容、職場環境等の場面で発生します。その不一致を自分自身で解消することができない、もしくは周りがその不一致状態に気付くことができなかった結果、「退職」という選択を選ばざるを得ない状況になっているとも考えられます。

 退職の決断を聞いた上司や人事担当者は、「もっと早く相談してほしかった」「そんなことを考えていたなんて・・・」ということを感じるのはよくあることです。これは、社内のシステム化による社内での対面コミュニケーションの減少や、上司の業務量の増加等により、部下や社員と関わるコミュニケーションの絶対数の減少が要因の1つとして考えられます。

 このように、以前は仕事の延長線上のコミュニケーションで、部下の「変化の兆し」をキャッチアップできていましたが、コミュニケーションの絶対数が減少したことにより、その予兆に気づけない、言い換えればブラックボックス化しているといえるのです。

■いかにその「予兆」をキャッチするか


 このような背景により、最近では「メンター制度」が企業で取り入れられるようになってきました。メンター制度とは、会社や配属部署における上司とは別に、相談役となる先輩社員(メンター)が後輩(メンティー)のサポートを行う制度です。

メンターとはもともと「助言者」という意味であり、年齢や社歴の近い先輩社員が、後輩社員の仕事における不安や悩みの解消、業務の指導・育成を担当します。

 メンター制度は以下のような目的で活用されています。

  • 若手社員の育成と企業への定着化
  • 人材育成の風土醸成と企業文化の継承
  • メンター自身の育成

 仕事の指導をするOJTトレーナーと混同されがちですが、目的が違います。
テクニックを指導するトレーナーではなく、仕事の悩みなどの相談を受けながら、信頼関係を構築していく存在がメンターです。ブラックボックス化してしまった、メンティーのちょっとし「予兆」をキャッチし、離職防止へ繋げるという意味で、その存在価値が非常に高まっているといえるでしょう。

■メンター制度のポイント


 最後に、簡単に「メンター制度のポイント」をお話しします。

 まず、軸となるのが、「なぜメンター制度を導入するのか」という導入目的が重要です。つまり、メンター制度で何を成し遂げたいのかという点です。今までは、「離職防止」の観点でお話をしてきましたが、他にも「女性の活躍推進」「中途社員の定着」「新任管理職のフォロー」なども一般的な導入目的として存在します。

 この目的をはっきりさせておく理由に「メンタリングポイントの違い」と「メンター選定」があります。つまり、どこに着眼点をもってメンタリングするかによって、選定するメンティーも変わるということです。

 もう1つはメンターの「聴く力」です。これはメンターに限らず、若手の上司になる方にも同様のことが言えます。若手社員といかに関係構築をするか、本音を話してもらうか・・・そのためには「聴く力」のスキルが最も求められるといっても、過言ではありません。

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■具体的なメンター制度導入に向けて


 このように、企業として導入そのものを目的とせず、何を成し遂げたいのかを明確にした上で、導入とその仕組の設計、またそのために必要な研修を実施することをお勧めします。

 メンター制度とは、直属の上司や先輩ではない別の人が相談役となりメンタル面をフォローする制度です。
人材定着等の人的課題を解決する打ち手として、今注目を集めています。

 上でも述べたように、「導入の目的」を明確にすることが最も大切です。特にメンターへの業務量的な負担は否めず、導入後のフォローも重要なポイントとなります。

 制度の導入が進んでいる企業もありますが、形は様々です。まずは制度そのものの理解と自社の課題を解決する手段として最適か否か検討をすることが重要です。