病院機能評価を活用した業務改善vol.2

2019年06月12日

病院経営に求められる3つのキーワードを振り返る

前回も述べた通り、 これからの病院経営に求められることは、「現状の体制でいかに業務効率を上げ、一人一人の生産性を高めることができるか」にかかっていると言えます。

業務の標準化によって「質のバラつき」と「時間のバラつき」を防ぐこと、改善意識の醸成によって過去のやり方に固執せず、より良い方法を常に模索し続けること。
これが業務効率と生産性の向上の土台になります。

そのためのキーワードは

【1】業務の標準化
【2】改善意識の醸成
【3】引き算の文化

の3つとして、前回のコラムでは、このうち【1】と【2】について解説しました。

今回のコラムでは【3】引き算の文化について解説します。

足し算の文化…その効果検証はできている?

多くの医療機関に関わっていて、共通して感じることが「足し算の文化」です。
その代表的な事例が、「ダブルチェック」です。
病棟におけるインシデントで最も多い誤薬や患者誤認・部位誤認を防ぐために、ダブルチェックが重要であることは否定しません
実際多くの場面で、ダブルチェックは取り入れられ、事故を未然に防ぐ効果を上げています。

一方で、「ダブルチェック」を取り入れても、同じミスが繰り返されていることもまた事実です。
そしてダブルチェックをしてもインシデントを防げない場合は、担当者のダブルチェックに加え、リーダーや主任が最終チェックをする「トリプルチェック」にしようとする例をよく目にします。
これがまさに「足し算の文化」の典型です。

その他にも、チェック項目や書類など、何かあるごとに「安全のため」という理由で作業を増やして行く傾向が高いのではないでしょうか

もちろん安全は重要なことですし、丁寧な確認は決して否定するものではありません。
しかしながら、ダブルチェックやトリプルチェックをする、つまり手数や手間を増やしたことで、どの程度、改善の成果があがったか検証されているでしょうか

このような質問をすると「チェックを増やしたことでインシデントは減っているので改善成果は出ています」という回答が返ってきます。
もちろん、それも立派な成果です。

しかし忘れてはいけないことは、「インシデントを減らす」という成果を上げるために「手間」を増やしているということが考えられていないことです。

ダブルチェックやトリプルチェックにするということは、実施者のみならず、確認者も作業の手を止め確認のための時間を取るということです。
つまり、「確認」という業務自体の手間を増やすことで、確認者の生産性を低下させていることになります。

生産性は収益(成果)と費用のバランスです。
収益(成果)に見合わないコスト増は改善とは言いません。

足し算だけが選択肢ではない

同じ作業にかかる人手や手間が増えるということは、時間コストが増大するということをしっかり理解することが必要です。
さらに、確認に手が取られることで、人員不足となりスタッフの増員を求めることも少なくありません。

ダブルチェックで防げないのであれば、チェック者を増やすのではなく、

  • ダブルチェックの項目に問題があるのではないか?
  • ダブルチェックのやり方に問題があるのではないか?

など、手数を増やす前に、今やっているやり方自体を見直すことを第一に考えるべきです。

これからは「足す」ではなく「引く」が大切

10年前と今日では、患者への説明、カンファレンス、記録、委員会等、いわゆる周辺業務が圧倒的に増えています。
これからもそれらは増えていくことが予測されます。

一方で、以前行われていたことで、現在は必要なくなっているはずの業務も多々あるはずです。

ところが、それらの業務の見直しはされずそのまま行われていることが少なくありません
それではいくら人手があっても足りないのは当たり前です。

業務や手順を増やさざるを得ない時には、今やっている業務で減らせるものが無いか、をまず検討してください。

仕事の成果を図るものは「量」ではなく「質」です。

「たくさんの作業をしているから頑張っている」という考え方が足し算の文化を作り上げます。

経営効率の向上、働き方改革(働きやすい職場環境の構築)のためには、引き算の文化を定着させていくことが必須です。
皆さんも、今の現場業務の洗い出しと見直し(削減)をぜひ検討してみてください。

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