失敗で終わらせない!コロナ禍におけるテレワークの導入

2020年08月01日

中国の湖北省武漢市に端を発したと言われる新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、4月7日に日本全国に緊急事態宣言が発令、移動や外出の自粛、イベントの延期や中止、営業活動の制限等、私たちに様々な変化や影響をもたらし「ソーシャル・ディスタンス」という言葉も日常的に使いのものになりました。
また、テレビやネットなどの媒体で連日、取り上げられている「テレワーク」という働き方もその一つだと思います。

今回のコラムでは、この「テレワーク」の現状と今後についてご紹介したいと思います。

■コロナ禍を背景に加速化した「テレワーク」

テレワークとは「情報通信技術(ICT=Information and Communication Technology)を活用した、場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義され、在宅勤務、モバイルワーク、サテライトオフィス勤務の3つのスタイルに分類されています。
その中でも皆様が特に思い浮かぶのは在宅勤務というスタイルではないでしょうか。

テレワークの普及に関しては、以前から政府が取り組んできた働き方改革と関連の深い労働施策基本方針「柔軟な働き方がしやすい環境の整備」の中の一つの施策としてテレワークの推進をあげ、中小企業を対象とした助成金制度も整備し、その普及に取り組んでいました。
そうした取り組みもあり、テレワークの導入状況は確かに一時期増加傾向にはありました。
しかしながら、当初思い描いていた導入の進捗度合いとは、ほど遠かった
ように思います。

上記のグラフは総務省発表の調査結果を示したものです(参考資料1)。
少なくとも2017年までは、普及率が10~15%の間で推移している状況が続いていました。

しかし、今回のコロナ禍を背景にその状況が一変、テレワークの導入が一気に進みました
それまで、テレワークを導入していなかった企業も緊急的に導入をすすめました。特に大都市圏においてはその傾向が顕著です。

内閣府が実施した調査結果によると(参考資料2)、テレワークの実施率は34.6%、東京23区内に限れば55.5%、実に半数がテレワークを経験しています。
大都市圏ではないエリアでもテレワークを導入した企業、導入を検討した企業も多いのではないでしょうか?

こうした状況の中、テレワークに関して、官民様々な機関がテレワークに関連する調査を実施し、その結果が公表されています。
次に、それらの調査結果の中から、現状を明確にするための興味深い調査結果を紹介します。

■数字から見る「テレワーク」の普及状況

【1】緊急事態宣言前、宣言後、解除後の状況

宣言前の3月と宣言後の4月ではテレワークの実施率に大きな差があります。
以下は、厚生労働省が3月末から4月中旬、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の発表前後に行った全国調査の結果です。

このグラフからもテレワークの実施率の急激な伸びが確認できます。
これ以外でも官民様々な機関が実施した、ほとんどの調査結果において3月時点と比較して、4月は約2倍程度と大幅に伸長しています。

一方で、いくつかの民間企業の調査結果から、解除後には実施率が大きく低下している傾向が報告されています。
これは、緊急事態宣言をきっかけにテレワークを実施したものの、解除後に何らかの理由で継続が困難となり、実施を取り止めたと推察されます。

【2】テレワーク実施者の継続希望意向

次に、テレワークを経験した方を対象にした調査を見てみましょう。
以下のグラフは、公益財団法人日本生産性本部による「新型コロナウィルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を調査」の中から、テレワーク実施者の継続希望率を表したものです。(参考資料3)
コロナ禍収束後にも、テレワークを「継続したい」「どちらかといえば継続したい」を合わせると6割超えています

テレワークの実施者は、なんらかのメリットを感じて継続を希望している事が伺えます。

【3】テレワーク実施者の生産性

以下のグラフは、【2】と同じく公益財団法人日本生産性本部による「新型コロナウィルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を調査」の中から、テレワークの実施者を対象に、自宅での仕事効率について調査した結果です。(参考資料3)

自宅での仕事の効率は、職場で行うそれに比べて「効率が上がった」「やや上がった」と、効率 アップを実感したのは3割強にとどまり、逆に効率が「やや下がった」「効 率は下がった」が約7割を占める結果となりました。
ここから、自宅での勤務は、期待通りの成果を挙げていないということがうかがえます。

ここで、2017年に総務省が行ったテレワークに関する調査(参考資料2)と比較してみます。

2017年の時点でテレワークの導入をした企業のうち、50.1%が「労働生産性の向上」を目的としてテレワークを導入しています。
そのうち「非常に効果があった」「ある程度効果があった」と回答した企業を合わせると82.1%となり、テレワークの導入は期待通りの成果を上げていたことがうかがえます。

調査時期、調査対象も違いますが、アフターコロナに調査した結果と、2017年度の調査結果で労働生産性について大きな乖離が見られたのは、環境面や運用ルールが未整備のまま、緊急的にテレワークを導入したためと考えられます。              

これらのことまとめると、多くの企業では以下のような状況であったと考えられます。

・多くの企業は、コロナ禍をきっかけに環境やルールなどの整備が不十分なままでテレワークを導入実施を経験
マイナス要素や問題が発生しテレワークの継続実施を中止、または一旦見送っている企業が相当数ある
テレワークを経験した方は継続実施を希望している方が過半数を超えている

■テレワークの導入にはソフト面での整備が不可欠

また、一方で、テレワークを実施していない企業の理由としては「テレワークで対応できる職種ではない」といった理由に次いで「テレワークの制度が整備されていない」という理由が突出して多いという調査結果があります。

テレワークを導入するにあたっては、まず思いつくのがPCやセキュリティ機器、オンライン会議システムといったハード面の整備です。
こちらは経済的負担は発生するものの、比較的短期間で整備をしやすいかと思います。

しかし、ハード面の整備をしただけではテレワークの導入にはつながりません。
労務管理や人事評価など各種制度との関連や運用ルールといったソフト面の整備が重要です。

言い換えれば、テレワークの実施を一過性の実施に終わらせることなく自社に定着させていくためには、ソフト面の整備を進めていくことが必要不可欠だと言えるのではないでしょうか。

実際にテレワークのためのハード面、ソフト面の整備を行い、運用することで「多様性のある働き方の実現」「育児、介護等による通勤困難者への対応(離職の防止)」「応募対象エリアの拡大による人材の確保」といった面で効果をあげている企業もあります。

ウイズ・コロナ、アフター・コロナとも呼ばれる時代においてテレワークが働き方の一つのスタンダートとなることは間違いありません

■テレワークを継続実施していくために

これらのことから近い将来、テレワークの導入、未導入が従業員や求職者から選ばれる一つの指標になるかもしれません。

もちろん医療福祉業、接客サービス業といったテレワークでは対応できない職種の方もたくさんいらっしゃいます。
また、テレワークにもデメリットがあります。
全ての課題を解決できる魔法のツールではありません。
しかしながら、有効なツールであることは間違いありません。

これからテレワークを導入していく企業は「導入する目的」と「自社が目指す姿」を明確にした上で導入を進めていくこと、
コロナ禍をきっかけに緊急的にテレワークを導入した企業は「実施後の振り返りと検証を行い一過性の取り組みに終わらせることなく改善点があれば改善に取り組んでいくことがポイントとなります。

いずれの企業もテレワークの実施・導入にあたって「目的」と「目標」を設定し、振り返りと検証を行い、運用面をブラッシュアップし、効果のあるものにしていくことが重要です。

「企業が従業員にたいして提示できる新しい働き方の一つの選択肢として」「今回のコロナ禍にのようにBCPに内包する働き方の選択肢として」など、テレワークの導入検討はアフターコロナを乗り切るためにも、今がチャンスです。

この機会に具体的に一歩踏み出してみませんか?

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参考文献

【参考資料1】
 総務省 平成30年版 情報通信白書 テレワークによる働きやすい職場の実現
 (https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/h30.html)
 ・企業のテレワーク導入率
 ・テレワークの導入目的
 ・労働生産性向上目的でテレワークを導入した企業による効果の認識

【参考資料2】
 内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における 生活意識・行動の変化に関する調査
 (https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/pdf/shiryo2.pdf)

【参考資料3】
 公益財団法人日本生産性本部 第1回 働く人の意識調査:新型コロナウイルス感染症が組織で働く人の意識に及ぼす影響を調査
 (https://www.jpc-net.jp/research/detail/004392.html)