未来を生き抜くリーダーシップとは? vol.2

2018年05月22日

 

■ティール組織という考え方


今、あるビジネス書籍が静かに注目を集めています。原著『Reinventing Organizations』は出版されてから4年が経過していますが、「ティール組織」というタイトルで日本語版が1月に出版され、ベストセラーとなっています。

これはビジネスパーソンたちが、これまでの価値観や組織のあり方について限界を感じはじめ、疑問を感じはじめた前兆であるのかもしれません。

「ティール組織」では、今まで当たり前としていた「達成型組織」が生み出すプラス面とマイナス面について説かれています。企業が営利活動を行い、存続を是とするのは当然のことですが、本書では「自分たちが頑張らないと、会社が潰れてしまう」というプレッシャーを感じ、社員が怖れにより売上や利益の確保に追い立てられることに疑問を呈しています。また、「達成型組織」は階級制度という仕組みで統制を図っていますが、組織図に基づいた「役割(意思決定)と肩書き(権限)」が実際には機能不全に陥っている点も述べています。

今まで、効果的にリソースの配分や管理・維持・統率するために「階級制度」が機能してきましたが、多様な働き方によって、固定された役割の境界は曖昧で不明確なものへと変わってきています。

今後は「キャリア権」の確立により個々の自主的なキャリア形成が求められ、役職や目標管理の考え方は大きく変質していくこととなるでしょう。実力主義・能力主義から「チームに対する貢献・支援」や「個々の働き方への支援」がリーダーに必要とされ、上司・部下の関係も変わっていくことになります。

そしてメンバーは、上司や経営者の指示命令に闇雲に従うのではなく、組織の進化する目的を実現するために自律的に組織に関わり、影響力を発揮しようとします。メンバー同士が相互に話し合い、工夫しながら組織を維持していくのです。

メンバー全員が真に主体的に関わる働き方、そのために必要なあり方が「セルフマネジメント」です。セルフマネジメントを推進していくためには、

 

1.情報の透明化

2.意思決定プロセスの権限委譲

3.人事プロセスの明確化 

 

が必要です。

いわば開かれた組織、真の「見える化」の実現です。そのためにはメンバー全員の能力が存分に発揮される環境づくりが必要ですし、実現にはメンバーに寄り添うリーダーが必要となるのです。「支配型リーダーシップ」ではなく、「支援型リーダーシップ」が求められてくるのです。

 

■これからのリーダーシップ


「支援型リーダーシップ」、これを「サーバントリーダーシップ」と称します。「サーバント」とは「召使」や「奉仕」を表す言葉ですが、部下の召使という意味ではありません。

「サーバントリーダーシップ」の本質は利他性で、その利他性は「誰かの役に立ちたい」という人が持つ根源的な想いからくるものだと私は考えています。

部下のためにどんな支援が必要かを考え、部下の能力をフルに発揮させるために何ができるのかを考えるリーダー、部下の成長を促すリーダー、それが「サーバントリーダーシップ」という考え方なのです。NPO法人日本サーバント・リーダーシップ協会の真田代表はこう述べています。

『サーバントリーダーは、自分のビジョンやゴールに向かって一緒に付いて来てくれるフォロワーに対し、「尽くしたい」という思いを最初に抱きます。それゆえに、フォロワーに必要なものを提供しようと常に努め、フォロワーに影響力を行使してゴールに導いていきます。』

「サーバントリーダー」には10の属性といわれるものがあります。

1.傾聴

2.共感

3.癒し

4.気づき

5.納得

6.概念化

7.先見力

8.執事役

9.人々の成長への関与

10.コミュニティづくり 

です。これらは、これからの日本企業が環境の激変を乗り越えるために必要なものです。そして今後、必ず多くのサーバントリーダーが出現することになると考えています。

日本人が元来持つ価値観「利他の精神」とサーバント的価値観とは、実は相性がいいのです。「支援型リーダーシップ」が、やがて互いの違いを乗り越え、他者と本当に分かりあう社会が実現するものと私は信じています。

 

(参考文献)

・『ティール組織~マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現~』 フレデリック・ラルー 著/鈴木立哉 訳 英治出版(2018年1月31日)

・必要な人材像とキャリア構築支援に向けた検討ワーキング・グループ 経済産業省 人材像ワーキング・グループ(第6回)

http://www.meti.go.jp/committee/kenkyukai/sansei/jinzairyoku/jinzaizou_wg/006_haifu.html

 

(文責:株式会社キャリアプランニング契約講師 横山 三樹生)

 

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