新入社員受け入れ前に考えたいこと

2019年10月16日

10月に入り世間は「消費増税」一色になっていますね。
そのような中、10/1に内定式を終えられた企業様も多いのではないでしょうか?
また、2020年卒の採用を終えられその振り返りや、2021年の採用計画も立案されていることと思います。

一部の情報によると、既に自己分析や企業分析を始めている2021年卒の学生は80%以上いるとのこと。
ますます、採用市場の長期化・早期化が進みそうな予感です。

筆者も仕事柄、企業様のコンサルティングなどを通じて、採用市場の変化スピードが年々加速度的に高まっていると感じています。
今回はこの採用市場の変化をベースに、2020年卒新入社員に対し、入社前後に企業ができるフォローアップや、受け入れ時のポイントについてお話したいと思います。

 

■採用市場は「待ちの採用」から「攻めの採用」へ

近年、採用市場における変化はめまぐるしいものがあります。
特に新卒採用に関しては、年々変化の速度も速く、かつ大きくなっていると感じます。
筆者の就職活動に取り組んだ時代…今から10年ほど前でしょうか。
その頃は、学生と企業のタッチポイントは基本的には「合同説明会」が多く、その後企業説明会、OB・OG訪問を通じ面接へ進んでいました。

ですが、今はFacebookやLINE,Instagramに代表されるようなSNSの普及と、就職希望者が有利となる売り手市場が続く現状が、採用活動を大きく変えました。

学生は、ただ選ばれるのを待つのではなく、積極的に多種多様なルートから情報を収集し、複数の企業の中から入社する企業を決めているのが現状です。

一方で、企業も積極的にSNSを活用し、選考前にインターンシップとして学生を受け入れるのは当たり前、採用のためのリクルーター制度を導入するなど、あの手この手で企業は採用したい学生と接点を持つ機会を増やしています
そして、これまでは企業が提示する求人情報に応募があった人材に対し、クリーニングを行って採用していく「待ちの採用」がほとんどでしたが、最近では、経営者や人事担当者などが積極的に企業に必要な人材を見つけ採用する、「攻めの採用」としての「ダイレクトリクルーティング」を採用する企業も増えています。
また、社員を通して知人・友人の紹介・推薦を受け、選考を行う「リファラルリクルーティング」を採用を取り入れる企業も増えています。

このようなことから企業が「採りたい!」と思った学生については、個別に、1to1で対応することが必然的に増えてきています。
そのため学生自身も、個別対応を当たり前と思っている方も少なくないようです。

■「自分にとってどうなの?」がキーワードの若年層

このように企業が積極的に学生にアプローチを行い、学生も多くの情報の中から企業を選ぶという採用市場の昨今。
筆者が人事コンサルティングに関わってきた中で感じたことは、若年層の方に(新卒者だけでなく、既卒数年の若い社員層も含め)、「就職しようとしている(している)企業が『自分にとってどうなのか?』」を考える思考特性が特に強く見受けられる傾向が出てきているということです。

もちろん、昔から「有名な会社か」「長く働けそうか」「給料は上がるか」「安定しているか」など、自分の価値観や働き方に照らし合わせながら、就職先企業を選んでいたことは間違いありません。
その傾向がなくなったということではなく、これまであった企業を選ぶポイントに、さらに個人個人の考えを反映したポイントが加わり、その基準の比重が変わっていると感じます。

これまで重きを置かれていた「どこで仕事をするか」ということから、「何を(どんな)仕事をするか」という点の比重が大きくなったと感じます。
つまり、「どこで=企業」だけでなく、「何を=職種・役割」に価値や意義を置く若い方が増えているということです。

これが「自分にとってどうなのか?」という言葉に集約されています。

■多様化の時代、会社を選ぶ判断基準も多様化

これまでの企業に属するということは、社員として大勢の集団に属し、そこで企業に貢献することで「安定」や「安心」を得られていました。
そのため、少し前までの採用活動では、企業に属する安定、安心などを公言することで集まってきた求職者へ採用活動を行えば、離職者に頭を悩まされることも少なかったと思います。

しかし、昨今では、大企業の倒産や統合のリスク、終身雇用制度の崩壊などもあり、企業に属することが必ずしも「安定」や「安心」に繋がらないことも認識されてきました。
さらに近年は、「個性」を活かす教育制度の中、多様であることは当然として受け入れられ、欲しい情報は瞬時にネットで見つけることができます。
このような中で成長した若年層は「会社に属する安定や安心」以上に、「キャリア」「生き方」「将来何を達成したいか」など「個人」としての視点を重要視する傾向が強くなることは自然なことと言えます。

つまりこれまで同様の採用活動を続けていると、採用後の離職者が増えてしまうことは必然です。

入社後の職種や役割を考えることは、「より個人の存在価値を感じられる場所はどこか?」「より自己成長・自己実現ができる仕事は何か?」という考えの延長にあります。
そしてこの視点は、同じ境遇であっても当然個人差があります。
この「個人差」が採用の指標に入ってくることが、昨今の採用を難しくさせたり、「就社」の時代ではないと言われる背景の1つであると言えると思います。

 

■企業の魅力を入社希望者の動向から見つける

このような採用活動も複雑化、多様化する中で、自社の魅力をどのように表現していくのか…
これは企業にとっても悩ましい問題です。

しかしながら、自社を希望してくれる若年層の声から企業の魅力を見つけることができるのです。
就職にあたっての個人のモチベーションの源泉(内発的動機)に触れる何かが自社にあるのです。

入社する際には、それぞれ「自分には何ができるのか?」を考え、その上で「自分は○○なことがしたい!」と思い描き「企業」を選んできています。
この「どこで」の段階では、カテゴリが大きすぎて個人の内発的動機を探る上では、具体性や個別差を測ることは難しいでしょう。
ただ、一歩進めて「何を」に焦点を当てると、見えてくる光景がぐっと具体的なものに変わります。

例えば営業職を希望している入社希望者がいたとしましょう。
そこで「なぜ営業職を希望しているのか」「どこに存在価値を感じて志望しているのか」「そもそも、応募企業における営業職の役割をどのように認識しているのか」などの観点で面接やヒヤリングを行います。
これにより、個人の思考性とやりたいと感じたモチベーションの源泉を明確にすることができ、企業としての魅力を客観視することもできるでしょう。

■「会社のため」ではなく「あなたのため」に

前述のような観点で面接やヒヤリングを行うことは、採用活動がスムーズに行えるだけでなく、採用後の離職防止にもつながっていきます

採用後に大切になると思うのは、内定者(すでに入社済みの若年層も含む)のモチベーションの源泉を掴むという事です。
採用時にできていれば、より良いですが、限られた機会ではなかなか困難です。
時間のかかる作業ではありますが、重ねてヒヤリングを行うことでより深い理解につながり、これが後の離職や内定辞退の予防に繋がると考えます。

内定段階で確認しておくことで、入社までのフォローで必要な情報や、フォロー時のポイントが個人別でわかります。

そしてそれらの情報は内定時には人事だけが把握していますが、配属後は配属先上司に伝えることで、継続的に的確なフォローが可能となります。

離職防止のため、「彼らの言いなりになる」「良いことしか言わない」ということではなく、「自己成長欲求」を満たすための言葉がけや仕事の与え方・業務説明を行うことができるのではないでしょうか。
前述のように、特に若年層では「会社のためにどう貢献するか」よりも「自分にとってどうなのか?」という価値感が強い傾向があります。
個々の感性は違っても、自己の成長につながると思えば、耳の痛いことであっても積極的に聞くことができる素直さを持っている方も多くいます。
指導やアドバイスをする際の視点を「会社」だけでなく「個人」のエッセンスを加えて伝えるだけで、受け取り方が随分前向きになると思います。

■「なぜ」「どうして」も忘れずに

そして、もう1つ忘れてはならない昨今の若年層全体の傾向は、「説明をする」ことを非常に重要視しているということです。

例えば業務を依頼するにしても、「なぜこの業務が必要なのか」や「なぜあなたに依頼するのか」など、説明を求める傾向にあります。
そして、その業務をする上で必要な準備も怠りたくない傾向が強いです。

先ほど、自己成長欲求が強いお話もしましたが、成長のために必要な知識を事前に身に付けておきたいという思いも強く、「予習文化の世代」ともいわれているほどです。スマートフォンが普及したことにより、様々な情報を手軽に短時間で収集できるために、何かことを始める前に「ちょっと調べる」ことが通常であり、「ある程度情報を頭に入れリスク想定もしてことに当たる」このような行動特性があることが予習文化の由来です。

上の世代からは着手が遅く感じられたり、細かいことを気にすると思われたりするのも、この特性があることが要因の1つとして挙げられます。

つまり、「個人差としての価値観」と「世代としての特徴」この2点を踏まえて、受け入れ準備・対策をすることが、内定辞退や離職の防止につながる第一歩となるのではないでしょうか。 

今、若年層の指導で悩んでおられる方、そして今後新入社員や若年層の受け入れを控えている方は、ぜひこのような視点で一度現在の体制を見直していただければ幸いです。

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