~弊社事例紹介~人材育成のための人事制度の改定ポイント

2019年08月05日

先月になりますが、7月19日に岡山県下の経営者もしくは人事担当者の方を対象として無料セミナーを開催させていただきました。
タイトルを「育成体系の設計と人事制度改定のポイント~効果的な人材育成の仕組みとは~」と銘うって、県内の企業様が多数ご参加くださいました。

昨今、採用難や離職防止、従業員のモチベーション向上など、人事担当者が頭を抱える問題は多岐にわたります。
今回のセミナーでテーマとしたのは、「育成体系の設計と人事制度」です。
「いかに今いる人材を育て、活用するのか」「そのために必要な制度設計や仕組みの作り方について」など弊社の事例を交え、お伝えする機会となりました。

その中では、「古い人事制度が現在のシステムに合わなくなっている気がする」「評価制度の部分だけでも見直しをしたいがどこから手を付けて良いのか…」など、漠然とした不安を抱えておられる企業の方が多く見られました。

そのあたりを踏まえながら、今回のコラムでは「人事制度と人材育成のつながりと改定のポイント」について具体的なステップを紹介しながら、考えていきたいと思います。

■目の前のことだけ見直すのはNG

今回ご参加いただいたお客様の多くは、人事制度の中でも特に「評価制度」と「人材育成」に問題を感じていらっしゃいました
実際に、今このコラムを読んでいただいてる企業担当者の中にも、同じようなお気持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

いずれも、従業員にとっては直感的に分かりやすく評価が見える部分でもあり、問題が浮き彫りになりやすい項目です。
ただ、今回お伝えしたいのは、単に目の前の課題だけを見直すのは問題があるということです。

「評価制度」は実は「等級制度」に基づくものであり、人事制度の根幹となります。
つまり「等級制度」は、今回のセミナーのテーマであった「育成体系」や「評価制度」の基盤となるのであり、目の前に見えている課題だけを見直すとひずみが出たり、運用がうまくいかないなど、必ず問題が発生します。

人事制度の見直しの際には、見直す部分が一部であっても、必ず全体を俯瞰するということを忘れてはいけないのです。

■人事制度は経営戦略実現のためのツール

では具体的な人事制度の見直しステップを考える前に、人事制度の全体像について見ていきましょう。
一般的に思い浮かぶのは「人事制度」とはいわゆる「人事管理のためのツール」だということです。

  • 人材育成
  • 就業条件管理
  • 雇用管理
  • 等級制度
  • 報酬制度
  • 評価制度

などを包括的に表現して「人事制度」と呼ばれています。

しかし、この「人事制度」を「人事管理」のためだけあると考えるのは大きな間違いです。
「人事制度」は「経営戦略の実行と、経営方針の実現のためのツール」なのです。

「経営戦略の実現」つまり「企業が何を成し遂げたいのか?」に基づき、「それを達成するために必要な技術や能力を持った人材」つまり「経営戦略の実現ために必要な人材はどのような人材像か?」ということが明確になります。

つまり、人事制度とは明確な経営の方向性(方針・戦略)に基づいて、経営戦略を実現するための人事管理を実現するためのツールであるといえます。

企業が目指す方向へ従業員を向かわせるために必要なツールとして人事制度が存在するといっても過言ではないでしょう。

■人事制度の基盤は「等級制度」

前述とイメージ図で示すとおり、等級制度は重要な人事制度の基盤です。
等級制度とは、従業員の「社員区分制度」(正社員/契約社員等)と「社員格付け制度」(何を基準に格付けするか?役割/人/仕事)が組み合わさったものです。

この等級制度に、前述のような、「企業が求める人材像」つまり「経営戦略を実現するために必要な人材像」を具体的に落とし込みます
そして、そこで定義づけられた項目を基に、評価制度や人材育成制度に反映し、ここを評価したり必要となる研修を行うためです。

たとえば、「5等級の正社員に求めるものは○○だ」のように具体的な項目を挙げて、定義づけを行います。
各等級それぞれ定義づけを行い、社員を区分していきます。

■「評価制度」がうまくいかない理由はココだった

今回のセミナーに参加いただいた企業様の中だけでなく、私がヒヤリングさせていただく企業様の中には、人事制度の中でも特に「評価制度がうまくいかない」「評価制度を見直したい」という声が多く聞かれます。

しかし、よくよくヒヤリングを進めると、評価制度の問題ではなく、そもそも、この等級制度の定義づけがあいまいなまま運用されいていたり、等級で定義づけられている項目が現状に即していないことが見られます。

この等級制度が「現状に即して」「経営戦略に沿って」作成されていないと、当然「評価制度」がうまくいくことはあり得ません

今回のセミナーのトピックの一つでもある「育成体系」についても同様です。

「今自分が置かれている等級よりも、1つ上を目指す上で必要なスキルは何か?」
「それを習得するために、必要な研修は何か?」
など、この等級制度の定義を基に、研修体系も組み立てます。

そう考えると、もし等級で定められている内容が、そもそも企業が目指したい方向性(人材像)とずれがあった場合、せっかく行う研修も効果が薄くなってしまうでしょう。

そのくらい、この等級制度は重要な制度なのです。

■人事制度は古くなる!

さてもう一つおさえておきたいポイントは「人事制度は古くなる」ということです。

何十年も前に作成した等級制度をそのまま使っている、全く変えていないという企業様もいらっしゃるのではないでしょうか?

冒頭、人事担当者が抱える問題が多岐にわたる背景に、様々な環境変化があると述べました。
この環境の変化には「外部的な環境の変化」と「内部的な環境の変化」が考えられます。

外部的な環境の変化とは、社会の経済発展や社会モラルなどの変化。
またその企業が存在する業界自体の置かれる状況など、いち企業単体で影響を及ぼすできない環境の変化を指します。

そして内部的な環境の変化とは、経営方針・戦略の変化、取り組む事業の拡大・縮小のほか、企業の経営状況、労働環境など、企業の中に発生する環境の変化を指します。

何度も言いますが、人事制度は「経営方針、戦略の実現」のためのツールです。
経営戦略や方針だけでなく、企業や労働者を取り巻く環境、技術の革新など、企業の置かれる状況は時代の流れとともに、変わっていきます

そのようにみると、人事制度の作成当時の定義のままで、現在の経営戦略や方針の実現は可能だといえるでしょうか?

もちろん、古い等級制度がまったくダメだということをいいたいわけではありません。
ただ、経営戦略を実現できるツールになっているか?
定義になっているのか?

そのような視点で、現在の人事制度を一度俯瞰してみてみる時間が必要だということがお伝えしたいのです。

■人事制度の見直しは点ではなく面で、下流ではなく上流から

今回のセミナーでもお伝えしましたが「人事制度を改定する上での着眼点」が非常に重要です。

まず現状を分析し、

  • 経営戦略に基づいた等級制度になっているか
  • 複雑な環境の変化に対応できる制度になっているか
  • どこかに問題が現れていないか

を判断し、
人事制度を見直す必要があると判断された時でも、やみくもに見直すのではなく

  • 気になる課題のところだけを見直すのではなく、人事制度全体を俯瞰する
  • 評価や報酬制度に違和感を感じるときには、その上流にある等級制度を見直す
  • 運用しながら定期的に把握、確認を行う

などが重要になってきます。

■弊社キャリアプランニングの人事制度の改定ステップ

等級制度の重要性をご理解いただいたところで、最後は制度改定の流れとして、弊社の事例をご紹介してきます。

ここで特筆したいのは、人事制度のプロフェッショナルである私たちキャリアプランニングも実は自社のみで制度改定を行ったわけではなく、外部の協力を得て、制度改定を行いました
これは、私たちがこれまでの経験を経て、制度改定において、客観的な意見を取り入れることのできる外部の協力は非常に重要と認識しているからです。

具体的には以下のようなステップで、実際の制度改定を進めました。

  1. ありたい未来像とその実現のための問題点の抽出
    ・客観性と妥当性の担保のため、従業員満足度調査を実施
    ・さまざまな階層の従業員から課題を抽出
  2. 問題の整理
    ・抽出された問題をカテゴリーに分けて整理
    ・その中で問題点の核となる課題(制度改定にキーワード)を洗い出す
  3. ストーリー(コンセプト)の見える化
    ・問題の認識にズレがないかの確認
    ・人事制度の改定で解決できることとそうでないことの仕訳
    ・優先順位づけ
  4. 軸を持って制度改定の実施を貫く
    ・制度改定の目的を明確にし、ブレがないか都度確認
    ・運用ができてはじめて意味を成す

このような改定のステップは、どの企業にも共通するものです。

特に、「04.軸を持って制度改定の実施を貫く」は重要なポイントです。

それは、一般的に新たな人事制度改定後に運用を開始すると、場合によっては根底が覆るような意見がでてくることがあります。
特に多くの従業員を抱える企業などであれば、当然、それだけ多様な価値観があります。
そんな状況でも、様々な意見に振り回されてはいけません。
発信者の意図や背景、内容を吟味し、制度改定の目的やコンセプトと比較検討することが重要です。

もちろん、少数派の意見に耳を傾けることは大切ですが、振り回されることとは違います。
立ち止まったり、制度改定をやめてしまっては元も子もありません。

そしてもう一つ大切なポイントは「一度で完璧な制度を作ろうとしないこと」です。

欲張りたい気持ちもわかりますが、前述したとおり人事制度は生き物であり、経営戦略実現のためのツールです。
戦略が変わればマイナーチェンジを行いながら、時代の変化に対応する柔軟性が必要です。


一度で完璧に仕上げるよりも、改定し運用しながら、最適なものを模索し続ける忍耐力が重要でしょう。

弊社の人事制度改定では、上で触れたように外部専門家の協力を経て改定を行い、実際に運用を行いました。

​外部専門家を利用するメリット・デメリットはそれぞれあります。
当然、時には耳の痛いことも指摘されることもありましたが、それもまたメリットの一つ。
やはり常に客観的な意見をだしてくれる外部の存在は大変有難いものでした

現在、キャリアプランニングではコンサルティング相談の中でも、多くの人事制度改定のご相談に対応させていただいております。

貴社の人事制度は経営戦略の実現に沿ったものになっていますか?
貴社の人事制度は人事管理だけのツールになっていませんか?
貴社の人事制度は「今」の環境にあっていますか?

「何か始めなければいけないな。でも何から着手すればよいのだろう。」
とお考えの経営者の方、人事担当者の方
ぜひ、一度外部専門家にご相談ください!

私たちは、一人でも多くの企業様が、企業価値の向上と、従業員の皆さまの発展的成長をご支援したいと考えています。

弊社人事コンサルティングの具体例はこちらから
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